成瀬くんなんて大嫌い。

「瀬戸川ちゃん、頑張ってたんだから。それに、残り少ないからマジできついよ?」


…私のこと、頑張ってたって、言ってくれた。


「だから愛音は樹のためならなんだってできるんだってばぁ!!」


「でもだめ。」


成瀬くんが、私がお姫様でいいって言ってくれるだけですごく嬉しくて、心が暖かくなった。


「でも、愛音は樹の特別でしょ!?」


…え?


さっきまで暖かかった心が一変して、変なリズムを刻み出す。


特別?


成瀬くん。違うよね?…違うって…言って?


「うん、そーだね。」


そんな私の淡い期待は一瞬で砕かれた。


…そうか。


愛音ちゃんは、成瀬くんの特別なんだ。


「じゃあ愛音が樹の相手役やらなきゃじゃん!!」


「それとこれとは関係ないのー。それに俺、瀬戸川ちゃんがいいし。」


…何、それ。


愛音ちゃんが特別なくせに。私がいいとか、言わないでよ。


…ほんと、わかんないや。


成瀬くんのこと、全然理解できない。


特別ってことは、愛音ちゃんが、彼女ってこと?


だったら、どうして愛音ちゃんがお姫様やるのダメって言ったの?
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