成瀬くんなんて大嫌い。
「どーしたの?」


私が悶々としていると、劇の監督がやって来た。


「あ、監督、」


助けて…なんて目で伝えようとしてみるも、伝わらず。(伝わるわけが無いんだけどね笑


「あーっ、もしかしてぇ白雪姫の監督さんですかぁ〜?」


私が黙っていると、すかさず愛音ちゃんが監督に話しかけた。


あぁ、監督に直談判されたら、ほんとにお姫様役代わっちゃうかも…


「あ、うん、監督です。」


「あ、実はぁ、愛音、お姫様やりたいんですぅ〜」


「あ、そーなんだ?でも、今回は時間ないし、来年チャレンジしたら?」


うん、そうだよね!ないす、監督!


「えー、でもぉ、愛音できますよぉ!」


それでも引き下がらない愛音ちゃん。


「…瀬戸川ちゃんは?それでいいの?」


…わ、私は…やだよ、そりゃ。


でも、なんか嫌々始めたわけだし…。


しかも、劇の練習しなくなったら成瀬くんと帰れなくなるから嫌だとか、動機が不純すぎるじゃん…。


そんなの、言えない…。


「陽茉莉ちゃんはぁ、いいって言ってくれましたよぉ〜」


…やだよ、本当は…。


「だからーあ、陽茉莉ちゃんと愛音ちぇんじでっ!」


「瀬戸川さん、ほんと?」
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