成瀬くんなんて大嫌い。
それなら、私だって成瀬くんの近くにいられるじゃんって思った。


1番じゃなくても、近くにいられるじゃんって知った。


だけど、嫌だった。


それが、どうしようもなく嫌だった。


1番じゃなくても…なんて、絶対嫌だと思った。


だけど、成瀬くんが一人の子に夢中になるなんて聞いたことがなかった。


漫画や小説の女の子はそういうチャラい男の子の1番になるよね。


だけど、これは現実だから、そんなのありえないって分かってた。


だから、諦めようと思った。


どうせ叶うことがないなら、自分に嘘をつこうと思った。


自分の気持ちに、蓋をしようと思った。


だから、その時から私は、成瀬くんが嫌い。


でも、隣になって、閉じ込めてる気持ちが溢れ出てきてしまうのが怖い。


だから嫌なのに。


成瀬くんの隣なんて。


他になりたい子、沢山いるのに。


なんでよりによって私なんだろう…。


前までの私なら、喜んだかな。


そりゃそうか、


大好きな、大好きだった成瀬くんと近くにいられるんだもんね。


でもね、今の私は全然、嬉しくないよ。



…成瀬くんなんて、大嫌いだから。
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