成瀬くんなんて大嫌い。
…あの日から、なんだか避けられてるし。



避けたいのはこっちだよ。…キスされて。



「瀬戸川ちゃん」



「えっ、」



…成瀬君、が、話しかけてきた。



「俺ね、瀬戸川ちゃんに言いたいことあってさ」



…キスしてごめんって?




だから嫌だったのに。



他の女の子と一緒なんて。



だけど、だけど、成瀬君からのキスは…嫌じゃ…なかった。



こんな自分の気持ちが1番嫌だ。



「なに?」



ぎゅぅっ。



急に成瀬君は私の手を握ってきた。



…このタラシ!



「ねえ成瀬君、なんなの?」



「いや、瀬戸川ちゃんに思い伝わったらいいのになーって、思って。」



「は?」



「ほんと、意味わかんないし。…こっちなんて、ずっとなのに。」



「え、なに?」



「なのにさ、あいつばっかりだし…。俺が誘ったら即断るクセにさ、あいつとだったら出かけるんだもんな」



「は?あの、成瀬君何の話して…」



「気づかないの?」



「え?」



なに、気づかないのって。


「…俺、瀬戸川ちゃんにキスした…」
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