黒と白の羽
「―世界の元となる炎よ

世界を聖なる炎で焼き尽くし

邪を祓った炎

精霊の名において

我の元にくだれ



下れしその御霊

世界を聖か邪を見極める

炎が彼の地に燃えた

聖なる炎の精霊よ

我の身に下れ

汝力の元となりし

姿を見せよ」



龍の形をした炎が天に昇るように燃え上がった。


龍の中心となるのは鈴羅。


先ほど、蒼かった瞳が真紅に変わっていた。



≪久しぶりだな・・・水虎。我が主よ≫


龍が鈴羅と水虎に話しかける。


炎の龍がだんだんと、原型を整えていく。



真紅の龍と蒼穹の虎。



そして、その龍の下と虎の横には漆黒の髪と真紅の瞳をした青年。



幻想的な光景だった。



「紅龍、水虎。やってくれるな?」




『御意』 ≪御意≫



水虎は天に昇るように、紅龍は水虎の周りを飛ぶ。



紅と蒼の線が空を描いた。
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