訳あり無表情少女と一途な幼馴染
音楽室を出て屋上に
空を見上げれば、鳥が風に乗って自由に飛んでる
横にいる姉さんを見ると、同じ様に鳥を見てる…いや、違う
羨ましそうな、悲しそうな、何かを…諦めてる様な
和士さんは言ってた

『恐らく、誘拐されてから自由は無かった。1人で何も無い部屋に居たらしい』

そして、こう例えてた

『今まで鳥籠で鎖に繋がれてた…鎖が解けても、飛びたくても、飛び方を忘れてるんだ
植え付けられた恐怖が心と体を支配して動けないでいる。
鳥を見てる時、いつも羨ましそうにしてるんだ
聞いてみたんだ、鳥を見ながら何を思ってるのか』

『自由に飛べて良いねって…私は自由になる方法が分かんない。
分かっても、私なんかが、自由なんて望んじゃいけない』

それを聞いて、俺は誓った
これ以上、姉さんを苦しめさせない
何があっても側から離れない
思わず姉さんを抱き締める

「紫音?」
「姉さん…」
「紫音、ここでは雫って「今なら誰にも聞かれない」」
「…」
「俺が…俺が姉さんを護るから。俺が姉さんを自由にする」
「紫音」
「もう、絶対に離れない…っ」

ギュッと抱き締めると、姉さんも俺の背中に手を回してくれる
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