訳あり無表情少女と一途な幼馴染
中に入ると紫音は恐る恐る後を着いてくる
楼の視線が私を通り越し、紫音を射抜く
後ろで紫音がピシッと背筋を伸ばすのが見なくても分かる
射抜く様に見てる楼だけど、口角がどんどん上がる

「クククッ…、そんなに身構えなくてもいい。なあ?」
「そうですね」
「もう、いいぞ?」
「ん」

雰囲気が柔らかくなったとこで、漸く紫音がホッと肩の力を抜く
私はフードを外す

「桜井組の組長 桜井楼だ。紫音、久し振りだな」
「はい、お久し振りです。」
「栞、良かったな。ちゃんと、会えて」

姉弟として再会出来た事だ

「ありがと」
「さて、和士から話は聞いてる。
俺からも、知りたい事があれば、出来る限り答える」
「じゃあ…あ、あの…」
「何だ?」
「さっき姉さんが言ったんですけど、影の存在って…」
「…そうだな。ここに来て、俺に会った以上…知っておくべきだな」
「楼…」
「いい、俺が話す」

楼の雰囲気が変わる
私は二人から離れ壁に寄り掛かり、腕を組んで様子を見る
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