訳あり無表情少女と一途な幼馴染
手合わせして数分、早くも息が上がる
今まで白狐として何度か殴り合いをしてきたけど、レベルが違い過ぎる
躱し方や相手の攻撃を逆に利用するとか、今までに無い体の動かし方
しかも、酒向さんは息が上がってない
最小限の動きで余計な力を使わない

手合わせが終わると、俺は力尽きて仰向けに倒れる

「はぁっはぁっはぁ…」
「初の手合わせ、お疲れ様」
「あ、ありが…とう、ござい…まし…た」
「息切れしてるね〜。これから鍛錬してけば、この程度じゃ平気になるよ」
「そ、そうッスか」
「さて、栞さんに解いてもらうか。紫音君、目を瞑って」

ここに来る前と同じ様に風が舞う
目を開ければ

「お疲れ様」

俺はリビングの床で、倒れたまま
視線を横に向ければ、姉さんが

「どうだった?」
「…全然、ダメだった」
「そう。汗かいてるでしょ、お風呂沸いてるから」
「ありがと」
「春、夕飯用意してあるから食べてって」
「ありがとうございます」

風呂に入るとジンジンと痛む体

「あ〜こりゃ…」

明日には至る所に青痣が出来てるだろうな

「先は長〜な…」
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