訳あり無表情少女と一途な幼馴染
俺は栞さんと初めて会った時を思い出す

「初めて会った時、栞さん、男のフリしててね。
ずっとフード被ってたんだけど
『俺のサポートが出来る人間か確かめる』
そう言ってフードを外し、俺と目を合わせたんだ
普段は左目を隠してるけど、その時は隠してなくて
栞さんの素顔を見た時、思った。
綺麗な目をした子だなって」
「…それで、手合わせは勝ったんですか?」
「いや?瞬殺だったな」
「しゅ、瞬殺」
「あの時の栞さんは若と和士さんにしか心を開いてなくて。
正直、なんで俺なんだろって
若に聞いても何も答えてくれなくて
そのまま初めて能力を見せてもらって、あの道場で
凄い、こんな事が出来るんだ…って
で、負けて倒れた俺は、こう思った
15の男の子に負けるなんてって
その時、栞さんが言った
『俺の能力を見せて手合わせしても、バケモノだと思わないのはお前が初めてだ』」
「!?」

バケモノ…

「で俺は
『バケモノだなんて思わない!君は普通の男の子じゃないか!
この能力も、人とは違うけど、…凄い能力だ
それに、君の目は綺麗だ』
その時だよ、栞さんが無表情の中、一筋の涙を流したのは…」
「…」
「 『ありがと』って小さい声だったけど、今でも覚えてる。
俺は栞さんの、笑顔が見てみたいと思った。
若に結果を報告した時
『あ、言い忘れたけど…俺、女』
言いながら男装を解いたんだ
驚いたよ、若に煩ぇ!って怒鳴られて
その後
『俺が女でも、サポートする気はあるか?』
そう聞かれた
俺は栞さんが女でも、笑顔を見たいと…その気持ちは変わらなかった
だから…
『はい、俺に神崎さんをサポートさせて下さい』
目を見て、そう宣言した」
「…」
「それからはずっと、俺が栞さんをサポートしてる。これからもずっとだ」
「酒向さん」


紫音side
俺は立ち上がり、頭を下げる

「今まで、姉さんをありがとうございます」

顔を上げ、酒向さんと目を合わせ

「これからもお願いします」
「よろしくね」

こうして、俺の新たな生活がスタートした
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