訳あり無表情少女と一途な幼馴染
「雫」

紫音が静かに声を掛け、肩に手を置き顔を覗き見る
!?…近くねぇか
内心、立ち上がりそうになるのをグッと堪える
紫音は口元に人差し指を当て

「寝てる」
「寝てる?」
「雫さんが?」

紫音以外、驚いて雫を見る
俺達の前では、眠たそうにしてる時があっても頑なに眠らなかった
一度、今井に話してみたら

『お前等だって信用してない相手の前で寝れるか?』

信用してない相手…病院でもそうだが、言われた時はショック受けたな
だから今、目の前で寝てるのにかなり驚いてる

「寝てるけど、俺が離れたらすぐに起きる」
「何で?俺達が信用出来るから寝てるんだろ?」
「…ゴメン、そうじゃない。俺が傍にいるから、辛うじて寝れてるんだ。
いや、寝れてるって言うより多分、寝ちゃったって感じかな」
「!?」
「どういう事ですか?」
「…これ以上は言えない」

紫音が傍にいるから、寝れてるだと…

「相当疲れてるみたい」

疲れてる…

「紫音。何でそこまで、知ってんだ」
「…」
「答えろ」
「…ゴメン」
「!…おいし「止めろ」」
「「「!?」」」

寝てる筈の雫が目を開ける

「前にも言った。関係無ぇ奴に話す必要は無い」
「お前、またそれか…」
「必要以上に俺に関わってくるな。紫音、行こう」
「え、あ…うん。じゃあ」

バタン
扉が閉まり、部屋は静寂に包まれる

「少しは心開いてくれたと思ったけど…違うんだな」
「まだ、ダメみたいですね」
「…」

紫音と雫、あの2人の間に何が…

「出てくる」
「分かりました」
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