訳あり無表情少女と一途な幼馴染
酒向side
とうとう始まった
意識を失った紫音君が栞さんに覆い被さる前に支える

「頑張って」

紫音君を横にし、近くで見守る

「栞、本当に良かったのか?」

若が栞さんに、何度も聞いてきた質問を再度尋ねる
そう
この試練は楼さんが組長として、いや…幼馴染として発案した事
コレが思い通りに終わったら、紫音君は《蒼鷹》として桜井組に入る
最後の試練…それは本当にこちらの…《極道の世界》へ入るかどうかを自分で決める試練
今まで俺が教えてきたのは、極道の喧嘩と知識
それだけなら紫音君は、もう問題無い
けど、この世界はそれだけでは生きていけない

残る課題は、精神面だ
どんな状況に追い込まれても、桜井組や栞さんの情報は死守する

例え、死ぬ事になってもだ

少しでも情報が渡れば、一気に形勢が変わる
それだけ、情報漏洩は危険なんだ

紫音君は、蒼鷹として栞さん…鷹の傍にいる事になる
だからこそ、この試練を乗り越え、正式に桜井組に入るんだ
若が何度も栞さんに聞いたのは、
紫音君をこの世界に入れるのをずっと躊躇ってたから
これが終われば、もう組に入るのは決定してる
試練を受ける前だったら、いくらでもチャンスはあった

だけど、栞さんは紫音君を組に…蒼鷹として自分の側にいさせるのを受け入れた
栞さんも…自分で決めたんだ
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