訳あり無表情少女と一途な幼馴染
「紫音が望んだ事。それに、言ってくれた
私を護るって、もう…離れないって。私も、同じだから…」
「同じ?」
「私も、もう紫音と離れたくない。紫音を一人にさせたくないの
前に、紫音が影になるって言った時、止めたけど…ホントは少し嬉しかったんだ。
どんな時でも、紫音と離れなくていいんだって」

栞さんは泣きそうな嬉しそうな表情で紫音君を見る

「この試練は、弱い自分と見つめ合う様なモノ。
自分自身の事は自分で決めるモノ、他人がどうこうしていい筈が無い
紫音が進むと言うなら、私は何も言わない」

栞さんの鷹として、姉としての覚悟を見せられた
そして俺は、栞さんにまた…魅せられた

どれ位の時間が経ったか
紫音君が目覚め、バッと起き上がる

「…今のは、夢?」
「夢じゃないよ」

栞さんが紫音君の側へ

「ゴメンね」

紫音君は一瞬戸惑いの目で栞さんを見た
でも目を閉じ、開ければ…答えを見つけた目だ

「…姉さん」
「ん?」
「姉さん、楼さん、酒向さんも…」

紫音君は俺が教えたやり方で、首(こうべ)を垂れる

「試練を与えて下さり、ありがとうございました。
まだまだ未熟ではありますが、
姉共々、桜井組の影として務めを果たさして頂きます。
宜しくお願い致します」

栞さんが言ってた通り
紫音君が決めたなら、何も言わない

「桜井組組長、桜井 楼としてお前を正式に組に入るのを認める
これから宜しくな、紫音…いや、蒼鷹」
「はい!」

紫音君が、自ら選んだ道だ
< 195 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop