訳あり無表情少女と一途な幼馴染
蓮side

『蓮の為に』

どこかで聞いた言葉
いつ、どこで聞いた
思い出せねぇ…

「蓮が好きなのは、姉さんだ。雫じゃない」

紫音は俺から雫に視線を移す
その目には、愛おしさが

「…っ」

それ以上、その光景を見たくなくて部屋を出た
バタンッ
俺は自分の部屋に入りドアに凭れ、そのままズルズルと座り込む

「分かってるよ…分かってんだよ、…んな事」

雫は栞じゃない…分かってるっ、分かってんだ!
けど、あの二人を見てるとモヤモヤする
あの光景が目に焼き付いて離れない

『雫は、俺の大事な人だ』

「…っくそ!!」

ガンッと横の壁を叩き、クシャ…と髪を握る

「栞じゃない…アイツは、栞じゃ…ねぇ」

俺はそのまま、暫く立ち上がれずにいた
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