訳あり無表情少女と一途な幼馴染
「俺が栞を見つけたのは、今から2年位前の冬だ。
栞は寒い中、1枚の服で裸足でフラフラ歩いてた。
6歳までの記憶しか無かったからな、最初は栞だって気付かなかった
でも、行き着いた場所と呟いてた言葉で気付いたよ
『紫音』って言いながら、あの家の前まで歩いてたんだ」
「!…っ姉さん…!」
「でもそれだけで、栞だと?『シオン』なんて名前、いくらでもいるだろ。
家も偶々倒れただけかもしれなかったのに」
「俺も思った。けど、話し掛けた時、警戒されて殺気を向けられた
そん時だ、左目にペンタクルが浮かんでた。
それからは必死に和士だって訴えかけたよ、漸く分かって
『和…士?』
それだけ言って、意識を失ったんだ」
「家の前で倒れたんなら、何で俺達にすぐ知らせてくれなかった」
「そうだぜ和士さん」
「悪かった。早く病院に連れて行きたかったから、でもその後に連絡したろ?」
「…」
「待って下さい。楼さんには連絡して、何で俺等には何も言ってくれなかったんですか」
「最初は検査後、面会出来る様になったら知らせるつもりだった
だが、1つ問題があった」
「問題?」

和士さんは蓮を見て

「栞には蓮の記憶が無かった」
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