それでもいいよ
「ストップストッープ!!」


ひなに持っていたグラスを強引に奪い取られる


「返してー」

「だめだって
あんた酒弱いんだから
これ以上飲んだら潰れる」


取り返そうと手を伸ばすけど

たしなめるように言いながら
ひらりひらりと難なくかわされる


「…潰れてもいいもん」

むしろさっさと
僅かに残っている理性と意識を手放したい

ここ数ヵ月の嫌なこと全部忘れたい

今だけでいい
頭の中全部空っぽにしたい


「あんたはまたそんなこと言って…
後で、自分の醜態思い出して
赤面して悶えるか二日酔いで寝込むことになるよ」

「いいもーん」


やれやれと肩を竦めながらひなはスマホを取り出した


「あ、もしもし?
あのね…」




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