それでもいいよ


「泣くなよ?うざいから」

「…そこは慰めてよ」

「何?俺に慰めてもらいたいのかよ」

「…だって、本当に辛いんだもん」



…誰でもいいよ

辛いね
悲しいねって共感してくれれば
それだけでも充分救われるから


「…」


ぽすりと秋鳴の肩に顔をのせる

泣くなって言われたけど

…だめだ

…あれだけお酒飲んだのに

記憶が全然なくならない

むしろ色々鮮明に思い出してしまって
勝手に涙が出てくる







前を向いていた秋鳴が
軽く首を動かし
すすり泣く私に視線を向けた


「…はぁ…」


短くため息をつくと、突然
ぴたりと足を止める


「……秋鳴?」

「慰めればいいんだな?」

「…うん?」

「今からお前、俺の彼女な」

「………………うん?」

「お望み通り慰めてやるよ」



真顔でそんな事を言われ

そのあまりに唐突な出来事に

私は



「……………………へ?」



ぐしゃぐしゃのひどい顔のまま
間の抜けた声しか返せなかった
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