キミと見た夏
「あそこのブイまで競争な」
「おっしゃやったる。負けへんでぇ。」
男子達は元気よく泳いで楽しんでいるのだが、
僕は丁寧に参考書ををめくる。
「ねぇ、ひかるくん。そんな勉強ばっかしてて楽しい?」
突然僕に話しかけてくれたのはクラスメイトの大崎真凛。
彼女はクラス一美人と呼ばれ、クラスの男子から一目おかれる存在だ。
「あぁ。楽しいよ。真凛さんもする?」
「もう、さん付けしなくていいのに。せっかく琵琶湖に来たんだったら泳げばいいのに。」
「泳ぐなど日常に不必要な行動はやめるべきです。」
「じゃぁなんで来たのよ。どうせあれでしょ。泳げないんでしょ。」
「うっ、いや別に来たのは友達に誘われただけで、泳げるのは、、泳げますよ、、」
実際僕はカナヅチだ。25mも泳げない。だから中学校にプールの授業がなかったのはラッキーだった。
昼には女子グループのお手製弁当を楽しく食べた。
それなりに楽しい1日だったと思う。
そして陽が傾きかけ少し涼しくなってきた頃
僕たちは家に帰ることになった。
各々自分の家の方にばらけていく。
男子の友達とも別れ一人になった。