俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
どちらにしろ周防さんのいいところを見たような気がして、密かに感服していると。
「けどまあ九割はお前のコンテが悪いけどな! もっとセンス磨いてクライアントのおっさん共がぐうの音も出せないモノ作れるようになれよ、大福!」
突然こちらを向いた周防さんが私のおでこに人差し指を当て、グリグリと押してきた。
「えっ、す、すみません……?」
あれ? 周防さん今、『俺の作戦ミス』って言わなかった?と混乱するものの、あ、別に私が悪くないとは言ってないかと納得もした。
「あーむしゃくしゃする。今夜反省会するぞ、夜八時に『Bier Laden』な」
『Bier Laden』はビール専門のダイニングバーだ。会社からほど近いこともあって、うちの社員の憩いの場というか溜まり場みたいになっている。
「あの、でも私、明日までに出さなきゃいけないロゴ案があって……」
「八時までに終わらせろ。一秒たりとも遅刻は許さん」
爽やかなはずの切れ長の目で眼光鋭く睨まれて、私は青くなりながら「はい……」と返すことしかできなかった。
――午後七時五十八分。
なんとか時間ギリギリに三坂さんにOKをもらった私は、会社からBier Ladenまでダッシュでやって来た。
息を切らせ店に駆け込むと一番手前のテーブル席に周防さんが座っているのが見えたので、まっすぐそこへ向かう。