俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「だから、本当の本当にそんなメッセージ送ってない。神様仏様閻魔様に誓ったっていい。あと芸術でもお前の裸を他の男に見せるのは死んでも嫌だ」
「だからモデルはやりませんってば。そんな勇気ないです。あと、メッセージ見たのは本当です。夢でも幻でもありません。あ、この海老団子おいしい」
ダイニングテーブルで向かい合ってご飯を食べながら、そんな会話を交わした。
仲直りはしたもののお互いまだ不満も不安もあるままだ。そこは今度こそ冷静に話し合わなくちゃいけない。
とりあえずまあ、ヌードモデルの件はお断りすると決めたからいいものの。問題なのは誤爆メッセージのことだった。
周防さんは絶対送ってないって言うし、でも私は絶対に見たのだ。彼が嘘をついているようにも思えない。
「そうだ。メッセージは残ってないけど……」
ふと思い立って私はスマートフォンを手にすると、メッセージアプリの画面を開いて見せる。
「あった。ほら、『メッセージの送信を取り消しました』って」
メッセージそのものは消去されてしまっているけれど、それを取り消した通知はトーク画面に残っているのだ。
周防さんは私の差し出したスマートフォンを受け取ると、画面を眺めて「なんだこれ」と呟いた後しばらく黙ってしまった。その表情が少しだけ険しく見えた気がして、私は一瞬ドキリとする。
けれど周防さんはすぐに表情を呆れたものに変えると、スマートフォンを私の手に戻して軽い口調で言った。
「悪戯されたかも。俺今日、お前の話しちゃったから、悪ふざけ好きなやつが冗談のつもりでやった可能性あるな」
そう言われると、そうなのかなと思えてくる。ここまで否定している周防さんが送ったというよりは、その可能性の方が高いような気がした。
そして周防さんは「後で調べとくよ」と言って再びご飯を食べ始め、この話題は終わった。