俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
周防さんが私の顔を両手で包み、深く唇を重ねてきた。
口の中に強引に入り込んできた舌が私の舌の上のアイスを舐めて溶かし、甘さを共有して奪われる。
「あ……、ん、ん……」
なんだか変な感じだ。チョコもバニラもふたりの唾液も甘く溶けて混じり合って、コクリと喉を鳴らしてそれを飲み込めば、媚薬みたいに体が熱くなった気がした。
「……梓希」
私の舌をおいしそうに舐めてから、周防さんが呼ぶ。
「かわいい。甘い。全部食べちゃいたい。お前本当かわいい」
吐息交じりの声で囁きながら、周防さんはピチャピチャと音を立てて唇についたチョコを舐めとっていく。くすぐったくて、体がゾクゾクと震えた。
「柔らかい体もいい匂いのする肌も髪も、半分寝てる雪だるまみたいな顔も、ちょっと阿呆なところも、全部世界一かわいい」
……なんか引っかかる部分もあるけれど、もしかして一生懸命褒めようとしてくれているのだろうか。
(あ。もしかして……私が小宮山さんに褒められて嬉しかったって話したから?)
そんなことに気がついて、胸がキュッと締めつけられる。
周防さんって仕事ではいくらでも美辞麗句を並べられるし人当たりも完璧にいいけれど、恋人にはちょっとだけ不器用だ。
それはきっと彼なりの誠実の表れ。ひと欠片の嘘もない本当の彼で接してくれてるからだって、だんだん分かってきた。
そしてそこに、溺れるほどの愛があることも。