俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
(……嬉しい。私、周防さんのことすごく好きみたい)
彼のことを知れば知るほど、どんどん恋に落ちていく。今まで自覚がなかったのが嘘みたいに胸が高鳴って、キスされるたびに心も体も溶けそうになった。
――けれど。
「梓希……愛してる」
周防さんが再び唇を重ね、私の胸にそっと触れたとき。
「あ……、だ、駄目……っ」
私は腕を突っ張って、密着していた彼の体を押し離した。
周防さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに「怖いか?」と表情を緩め優しく髪を撫でてくれた。
私はどんな顔をしていいか分からないまま首を横に振り、「まだ……その、待ってください」と懇願する。
周防さんに……好きな人に抱かれたいと思う。けれど、今は違う。
彼は私を好きじゃない。惚れ薬のせいで私を好きだと思い込まされているだけ。私は――本当に私を好きな周防さんに、抱かれたい。
「ごめんなさい。あの……周防さんに、だ、抱かれたいです。でも、もう少し……もうしばらく待ってほしいんです」
本気で彼を好きになってしまったから、嘘の恋のまま結ばれるのは嫌だと思った。
惚れ薬の効果を解いてこの恋をゼロに戻してから、私の本当の恋は始まる。オカルトにもスピリチュアルにも頼らず自分の力だけで彼を振り向かせ、好きになってもらうんだ。