俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
つくづくと彼の人徳の深さに感動していると、小宮山さんはチラリとデスクに視線を落としてから少しためらいがちに口を開いた。
「梓希さんって今……付き合ってる人いるの?」
「えっ!?」
「あ、ごめん。こういうこと聞くのセクハラかな」
私が周防さんと付き合っていることは一部の人しか知らない。ましてや同棲していることまで知っているのは、社内では和花ちゃんだけだ。
別に隠すことでもないけれど口ごもってしまうのは、やっぱりこの恋が本物じゃないからだ。惚れ薬のせいという後ろめたさもあるし、効果がいつ切れるかもわからない。そんな恋を意気揚々と人に話す気にはとてもなれない。
「えーと……い、一応」
けれど直球で聞かれたからには嘘をつくのもためらわれて、私はモゴモゴしながらも素直に答えた。
すると小宮山さんは驚くことに「もしかして周防さんかな?」とズバリ答えを当ててきた。
「ど、どうして知ってるんですか……!?」
驚いて顔を赤くしながら聞けば、小宮山さんは「あははっ、当たっちゃった」と口もとに手をあてて可笑しそうに目を細めた。
「前から仲いいなあって思ってたから、なんとなくね。そっかあ、じゃあ梓希さんにヌードモデル頼んだこと、周防さんきっと怒ったよね」
この人はなんて勘がいいんだと、私はひたすら驚いて口をあんぐりと開ける。彼氏バレしただけでなく、周防さんとのやりとりまでピタリと当てられてしまった。