俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「帰省?」
「はい。お正月くらい顔出して親孝行しようと思って……」
その日の夜。周防さんと一緒に晩ご飯のテーブルを囲みながら、私は年末年始に帰省する旨を告げていた。
「そういえばお前、実家遠いって言ってもんな。鹿児島だっけ」
「そうなんです。交通費馬鹿にならないですよ~」
「でもいいじゃん。俺、九州って行ったことないんだよな。気候もいいし海も綺麗そうだし、羨ましいよ」
「でも台風めっちゃ来ますよ」
そんな一見平和そうな会話を交わしながらも、私の心の中は台風のごとく乱れに乱れている。
周防さんと璃々が過去に付き合っていたことも、今日小宮山さんから意味深なことを言われたことも。私の中では全然整理がつかず、心のどこにどんなふうに収めればいいのかわからない。
落ち着かない気持ちでクリームシチューを口に運んでいると、周防さんがこちらをじっと見ていることに気づいた。
「……な、何か?」
そう尋ねると彼は「んー」と返事しながら視線をお皿に戻し、サラダのトマトをフォークに刺しながら言った。
「一緒に年越し出来ないの、ちょっと寂しいなーと思って」