俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「っはぁ~~。風呂最高~~」
体の芯まで冷えていたのだろう、周防さんは湯船に体を沈めるとお腹の底から感嘆の声をあげた。
一方私はというと、バスタブの隅にこれでもかと身を寄せ縮こまりながら後悔していた。
うちのバスタブは独身者用のアパートの例に漏れずとても小さい。何をどうしたってふたりで入るのなら体が重なってしまうのだ。
(こんなのどう頑張ったって、どっかしら肌が触れ合っちゃうじゃん! っていうか目のやり場に困る!)
視線を前に向ければ、目の前には周防さんの素肌の胸や腕が。彼の素肌を見たのは初めてじゃないけれど、でもやっぱりこんな近くでマジマジと見るのはものすごく恥ずかしい。
やっぱりやめておけばよかったと心臓を爆発させそうになりながら私は、広げた周防さんの脚の間で膝を抱えていた。
「梓希。お前、小さくなりすぎ。せっかく風呂入ってるんだからもっと伸び伸びしろよ」
「無理です……もう出ていいですか」
「あと三千六百秒数えたらいいよ」
つまりは逃げるなということだ。
まだ湯船に浸かって一分も経っていないのに、すでにのぼせたような気がする。