俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「で、、別れたワケだけど。広告会社と芸能事務所だからな、たまに顔合わせることもあってさ。半年くらい前にテレビ局のイベントで会ったとき、悩みがあるっていうから相談に乗ってやったんだよ。まあ相談って言ってもただの仕事の愚痴で、聞いてやっただけで気が済んだみたいだけど。けどそれから璃々が俺を頼るようになっちゃってな……」
そこまで言って、周防さんは困ったようにため息を吐いた。
なんとなく、その後のことは予想がつく。
大人になって余裕の出てきた周防さんともう一度やり直したいと思った璃々さんは、あの手この手で彼に復縁を迫ったのだろう。噂で聞いた話もきっとそうだ。急なポスターのモデル変更のときにに璃々さんの口利きでドリームキーパー事務所が融通を利かせたのも、今度の『ルパルク』のポスターに璃々さんが水着モデルを快諾したのも、そうかもしれない。
「あっ!」
ふと思い出して、私はお湯の中で手を打った。
「もしかして、前に私のスマホに誤送信されてきたメッセージって……」
私の言葉を聞いて、周防さんも思い出したように「あー、それな」と苦々しい顔をした。
「悪い。後で聞いてわかったんだけど、璃々だったんだよ。あの日、芸能事務所関係のフットサルで璃々も試合見にきててさ。試合の後の飲み会で回りに誤解されそうなほど絡んできたから、俺『彼女と同棲してる』ってみんなに言っちゃったんだよ。その後に俺、スマホ使って自動ロックにならないうちに席外しちゃって、そのときに勝手にいじってたらしい。ほんっと呆れてモノも言えないんだけど……お前には不安な思いさせちゃったな。悪かった」
たしかにあのときは目の前が真っ暗になった。解決したからいいものの、とんだ誤解をさせた璃々さんに腹が立ってくる。