俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「の、のぼせてきちゃったんで出てもいいですか」
腕に力を込めて周防さんの体を押し離すと、「たしかに顔真っ赤だな」とわりとすんなり離れてくれた。けれど。
「じゃあシャンプーでもするか」
そう言って一緒に湯船から立ち上がった彼の姿に違和感を覚えて、私は目を見開いたまま固まった。
周防さんの腰に巻いたタオルのシルエットが奇妙なことになっている意味を理解し、私は絶叫しそうになったのをこらえて慌てて顔を背けた。
明後日の方向を向きながら動かなくなってしまった私に気づき、周防さんが「どした?」とシラッと尋ねる。
「な、な、何もしないって言ったじゃないですかぁ。う、う、嘘つきぃ」
耳まで赤くなって動揺している私の様子に、周防さんは「ん?」と不思議そうな声を出した後、「ああ、これか?」と納得したように言った。
「まあ、お前と風呂入ってるんだからこうなるわな。仕方ないことだから気にすんな。無理に襲ったりなんかしねえよ。それよりほら、髪洗ってやるから来い」
そんな特異な状態になっているというのに、周防さんは気にする様子もなくバスタブから出て洗い場で膝立ちになる。そして自分の前に椅子を置くと「ここ座れ」と当然のように命令してきた。
「いやいやいや、もう無理です。周防さんが平気でも私が無理です。もう出ます、出させてください」