俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
そのなまめかしい指の動きに、不覚にも胸がドキッとする。
「もし梓希さんが周防さんを見限ったなら、僕が新しい恋人に立候補しようかなと思ってたんだけど。まあ、梓希さんが幸せならそれが一番だよね。よかった、よかった」
「そ……それは、どうも……」
なんだろう、もしかして私モテ期なんだろうか。
周防さんだけでなく、小宮山さんにまでこんなことを言われるだなんて。自分では気づいていなかったけれど、私って実は魔性の女だったとか?
けれどあいにく私の中身は非モテのままなので、小宮山さんのアプローチも華麗に交わせず、顔を赤くしながらドギマギしてしまう。
そんなぎこちない私にかまわず、小宮山さんは笑顔のまま「うーん」と悩ましい素振りをしてから話を続けた。
「実は昨日あれから周防さんすっごく怒っちゃってね。一応謝ったんだけどそれどころじゃなかったみたいでさ。どうしたら彼に許してもらえるかなあと思って、梓希さんに相談にきたんだ」
「はあ……なるほど」
事情があったとはいえ、人の彼女と目の前でキスしておきながら許してもらいたいとは。小宮山さんってわりとマイペースというかメンタル強いなと感心する。
何にせよ発端は私なのだから私が責任を持つしかないと考えたとき、ふとあることが閃いた。
「だったら――周防さんに力を貸してもらえませんか?」