俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「どこがいいって……どういう意味ですか?」
質問の意図がわからず聞き返せば、周防さんはますますムッとして私から視線を逸らせてしまった。
「だから! ……どうしてお前は小宮山の前だと、エサもらえる犬みたいな顔してるんだって聞いてるんだよ!」
(い、犬!?)
なんかめちゃくちゃな悪口を言われた気がするけれど、ようは私の小宮山さんに対する好意が顔に出てしまっていたということだろう。
しかし犬って……、私そこまでだらしない顔してた?
「だって小宮山さん、すごくいい人じゃないですか。誰にでも、いつでも優しくて。意地悪なこと言わないし、威張らないし、冗談でも人のこと虐めないし。言葉遣いも柔らかくて、いつも笑顔で。あとむやみに怒ったり不機嫌になったりもしないし。すごくすごく素敵な人だと思います!」
犬だなんて、ひどいけなし方をされたせいで、つい周防さんへのあてつけみたいな言い方になってしまった。
でもこれくらい反撃してもいいと思う。周防さんなんて小宮山さんと自分を比べて、少しは自省すればいい。
けれど。少し言いすぎただろうかと我に返ったのは、周防さんの眉間にみるみるしわが刻まれていったのを目撃したからだ。