俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
周防さんが人脈を駆使して入手した情報に寄ると、実は璃々さんは毎週土曜日の夜に特定の男性を部屋に呼んでいるらしい。
それが恋人なのか、あるいは体だけの関係の人なのかは分からないけれど、周防さんにあれほど熱烈なアタックをしておきながらそんな存在がいるなんて。私にはとても信じがたい話だ。
しかも情報に寄ると、その男性は同じ芸能事務所に所属する既婚者の俳優らしい。
妻帯者との不倫だなんて、もし世間に知られたら璃々さんの『清純』のイメージは地に落ちる。彼女にとって絶対に漏れてはならないトップシークレットであることは確かだった。
そして私たちはこれからマンションを張り込み、璃々さんと男性の決定的瞬間を写真に収める。彼女の弱みを押さえ、周防さんとの復縁を強要しないことを約束させるのだ。
……本当はこんなパパラッチみたいな真似なんか周防さんも私もしたくない。けれど、『ルパルク』の降板をたてに復縁を迫ってくるなんて、なりふり構わない璃々さんに対抗するにはこれしかないのだ。
目には目を、歯には歯を。強硬手段には強硬手段を、だ。
周防さんがこの作戦を発案したとき、シャッターチャンスを逃さないかだけが心配だったけれど、幸いプロカメラマンの小宮山さんの力を借りることができた。
小宮山さんも周防さんにお詫びがしたいと言っていたし、お互い利害一致でラッキー……ということにしておこう。
そんなわけで、にわかパパラッチになった私たちはあらかじめ立てた作戦通り、マンションの出入り口が見える植え込みの影に移動した。