俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「璃々!」

「えっ!? ……遥?」

いきなり呼びかけられた璃々さんが驚いて警戒しながらも振り返る。そしてそこにいた周防さんの姿を見て、かけていたサングラスを外した。

さらに周防さんの後に続いて現れた私とカメラを持った小宮山さんを見つけ、彼女の顔色が一変する。

「な……なんのつもり!? 何してんのよあんたたち!」

叫んで璃々さんと男性は慌てて手で顔を隠すけれど、もう遅い。証拠はすでにカメラの中だ。

「ふざけるな! データをよこせ!」

男性が小宮山さんの持っているカメラに手を伸ばそうとするけれど、彼はそれを容易く交わし、「これ自動でクラウドに保存されるんで無駄ですよ」とにっこり微笑んだ。

途端に男性は泣き出しそうな表情になり、「頼む……事務所と家族にだけは……」と震えだした。

「申し訳ないけれど、それは璃々次第です。俺は璃々と交渉にきたんで」

そう言うと周防さんはエレベーターの前から離れ、エントランスに設置してある椅子に座った。璃々さんも渋々といった表情でその後を追う。

私と小宮山さんは男性を「とりあえずあなたは帰ってください」とマンションから追い払うと、少し離れた場所から周防さんたちの話し合いを見守った。
 
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