俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「どうして俺がこんなことまでしたか、分かるよな?」
周防さんは威圧的ながらも冷静に話すけれど、璃々さんの方は感情が高ぶっているのがわかる。イライラとした様子で帽子をとり長い髪を何度もかきあげていた。
「信じられない、馬鹿じゃないの? これが元カノにする仕打ち? っていうかこのことが明るみに出たら、遥だって困るんじゃないの? 『ルパルク』の広告、私が降ろされてもいいの? 私が水着になるから話題になるんでしょ?」
嘲るように笑って責め立てる璃々さんに、周防さんは動じるどころか強く見据えて返す。
「そのときはお前以外のモデルでもっといい広告を作る。それだけだ。お前、俺がそんな覚悟もなくここまで来たと思ってるのか」
璃々さんはグッと口を噤みしばらく無言で周防さんを睨みつけていたけれど、やがて顔を手で覆って泣きだした。
「私は遥とやり直したかっただけなのに……。遥がいいの。遥がいないと私もう歌えない。私の歌を待ってるファンの子をガッカリさせちゃう……私の歌を生きがいにしてる女の子が日本中にいるのに……みんなごめんね……私もう歌えない……」
さめざめと泣く彼女を遠くから見ながら、私はなんだかモヤモヤとした気分になる。
抱える必要のない罪悪感が胸に根づきそうになり思わず眉根を寄せたとき、周防さんが座っていた椅子から立ち上がって言った。
「確かにかわいそうだな、お前のファンは。生きがいにしてるシンガーにそんな薄っぺらい気持ちで歌われて。俺さ、お前のそうところが嫌いだよ。才能さえあれば他人をどれだけ振り回してもいいと思ってる女王様気取りなところが」