俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「かわいい~。今日、七夕ですもんね」
星形のパプリカをスプーンで掬いあげて眺めていると、周防さんがオムライスを食べながら「ん」と窓のほうを指さした。
なんだろうと思って見ると、窓の外に小さな笹が飾られてるのが見えた。
「知り合いにもらったから飾ってみた。お前も後で短冊書けば」
今日は周防さんの方が先に帰ってきていたから全然気づかなかった。
私は目を丸くすると「わあ、すごーい」と言って、ちょっとだけ笹飾りを見てこようと椅子から立ち上がった。
笹を飾って短冊を吊るすなんて、小学生の頃以来だ。なんだか童心に返ったみたいで胸がワクワクする。
窓を開けベランダに立つと、曇り気味だった空が晴れていることに気づいた。東京の空で天の川はさすがに見えないけれど、星がチラホラ瞬いているのは見える。
「あはは、周防さん器用~」
笹には折り紙で作った星や編み飾りも飾ってあり、意外な手の込みように思わず笑みが零れた。すると。
「ん……?」
一枚だけ飾ってある短冊に何かが糸で括りつけられているのを見つけて、私は目を止めた。
手に取ってみるとそれは周防さんの書いた短冊で――。