俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
私としてはあまり深く考えていなかったのだけれど、密かにそんなことを待ち望まれていたなんて、申し訳ない気分になった。
「やば……これはかなりクる……」
「え? なんですか?」
「いいから。とりあえずもう一回呼べ」
「……? は……遥さん」
なんだかよく分からないけれど命じられるままにもう一度名前を呼べば、周防さんは痛いほど強く私を抱きしめ、キスの雨を顔に降らせた。
彼らしくないほど余裕を失ったその姿には覚えがある気がする。なんだっけ、私が周防さんに抱かれたいってバレたときだったっけ。
(そういえば、惚れ薬の説明書に『名前を呼んであげるとラブ度がアップ』なんて書いてあったけど……まさかね?)
インチキだった惚れ薬だったけど、もしかしてちょーっとだけ効果が残ってたりして?なんて考えて、こっそりと苦笑した。
「梓希」
「はい?」
少しだけ腕の力を緩めた周防さんが、ほんのりと紅潮した顔で言う。