俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
それから、椛田梓希との接点はわりかし簡単にできた。
そりゃそうだ。営業部員とクリエイティブ部員なんだから、仕事してりゃチームを組むようになる。
話をするようになり、一緒に仕事をするようになってくると、ますますこいつの地味さというか野暮ったさが分かるようになった。
なんというか……いちいちスマートじゃないんだよな。洗練されてないっていうか、一生懸命さが空回りしてるっていうか。ほら、目がギュッとしてる顔文字あるじゃん。あんな感じ。
そんで、背があんま高くなくて、丸顔で、色が白くて、隠してるけど全身ムッチリというかふくふくしてて。
そういうの全部ひっくるめて、俺は椛田梓希がめちゃくちゃ可愛くて可愛くて仕方なくなってきてしまった。
なんていうか、動物っぽいんだよ。成長の遅い子猫とか、ドングリ隠すの下手なリスとか、寝てる間に流されちゃうラッコとか。そういうダメダメな可愛さが椛田にはある。
それでいて女としても可愛い。肌がモチモチで唇がふわふわで髪も体も柔らかそうで、抱きしめて顔中にキスしたくなる。あと笑うとめっちゃ可愛い。でも困ってる顔もすごく可愛い。
あと打てば響く感じがすごくいい。俺がちょっとからかうと百二十パーセントくらいで返ってくる。スルーすることが出来ない。律儀に困ってくれる。
そんなわけで俺はいつの間にやら椛田梓希をめちゃくちゃ気に入ってしまっていた。
で、とどめだったのが八月くらいの頃――。