俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「ああ、そうだった。カメラマンの小宮山さんね。その後、進展はあったの?」

和花ちゃんには私が小宮山さんに恋してることは言ってある。けれどそれを話したのはかれこれ半年以上前だし、それ以降なんの進展すらなく報告もないのだから彼女も覚えていなくて当然だろう。

「進展なんてあったら真っ先に和花ちゃんに話してるよ~。相変わらず私が一方的に好きなだけ。絶賛片思い中だよ」

なんとも情けない私の報告に、和花ちゃんは「ふーん」と考えるそぶりをしてからこちらへ向き直った。

「梓希から告白したりしないの?」

「……しない。だってあんなカッコいい人が私のことなんか彼女にするわけないもん」

わかりきったことを聞かれて、私は拗ねたように唇を尖らせて言う。

洗練された細身で長身の小宮山さんと並んだら、私なんかぼってりとしたカボチャだ。小宮山さんがカボチャを彼女にする可能性をどこに見出せというのか。

けれど和花ちゃんは「そうかなあ」と悩ましそうに小首をかしげた。

「たしかに小宮山さんはイケメンだけど、梓希にだって十分チャンスあるんじゃないかな。カッコいい人ってさ、高嶺の花に見えて案外そうでもなかったりするんだよね」

不思議な自論を展開した和花ちゃんに、今度は私の方が小首をかしげる。

「どうしてそんなことがわかるの? ……まさか実体験? もしかして和花ちゃんの彼氏って『高嶺の花』レベルのイケメンなの!? ひぇっ」

彼女の恋人が高レベルイケメンの可能性が浮上し、私は驚愕と羨ましさでまたしても大声を出してしまう。
 
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