俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
そんなわけですっかり疲れ切ってしまった私は、スカートがしわになるのを気にしながらもベッドから起き上がれず、そのままぐったりとアザラシのように横たわっていた。
「どうしよ……状況がどんどん悪化していく……」
惚れ薬を飲ませてからわずか一日でキスを経てお付き合いをすることになってしまった。このままでは順調に関係が進み、一年後には結婚、やがて出産等々と周防さんと温かい家庭を築くことになってしまう。
「それは困る~」
赤子を抱えニコニコと微笑む自分と周防さんを想像してしまって、私は両手で顔を覆って嘆いた。
私は彼と結婚なんてするつもりは当然ないし、周防さんだってこんな薬に操られて人生を決めるなんてまっぴらのはずだ。
私は気を取り直すとガバッと体を起こし、バッグからスマートフォンを取り出した。
「シャーマン美鈴の居場所、探してみよう。もしかしたら私みたいに困ってる人が他にいるかも……SNSで呼びかけたら情報集まるんじゃないかな」
このまま惚れ薬なんかに人生決められるわけにはいかない。周防さんと温かい家庭を築いてしまう前に、なんとかシャーマン美鈴に惚れ薬の効果を解いてもらわなくちゃ。
登録してあるSNSを使い情報を探していると、日付が変わってポーンという通知音と共に画面に『十月の運勢』という通知が出た。登録してある占いサイトから毎月一日に届くお知らせだ。
とりあえず情報収集を中断してそれを見てしまうのは、私がスピリチュアル女子だから仕方ない。