俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「あいたっ!?」

突然後ろから頭をはたかれて、私は目を丸くして振り返る。と、そこには――。

「会社の前でぼさっと突っ立ってんな。通行妨害してるぞ、大福」

「ひっ! 周防さん!」

思わずひきつった声が出てしまい、目の前の端正な顔が不機嫌そうに片眉を上げる。

モラハラやセクハラに厳しいこのご時世に平気で人の頭をはたいてきたのは、我が社の営業部員、周防遥(すおう はるか)さんだ。

二十九歳で営業部チーフを務める彼は、誰しもが認める我が社のエースだ。彼の神がかった人当たりの良さと人脈を駆使した戦略のプレゼンは大手広告会社にさえ一歩も引けを取らず、大きな案件をバンバン勝ち取っている。

すでに東京経済広告賞とジャパンCM大賞という大きな広告賞をふたつもとっており、この業界では『しののめの周防』といえば、かなり名が通っているほどだ。

私も何度か一緒にチームを組んだことがあるけれど、本当に彼はすごい。

百八十センチを超える長身に芸能人顔負けの爽やかイケメンフェイス。もちろん女性受けは抜群なのだけど、彼がすごいのは老若男女に好かれることだ。
 
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