俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
それは私の偽りのない気持ちだ。この仕事が、助け合って、融通を利かせ合って、協力し合っていかなくちゃどうにもならないことぐらい、もう身に染みてわかっている。

ましてや周防さんには仕事の面では何回も助けてもらっているのだ。私のできることで彼を助けられるのならば、力を貸すことにためらいはない。……三坂さんと碇さんに対する不満は少々あるけれど。

私の言葉を聞いた周防さんはそれでも眉を八の字にすると、手を伸ばし私の目もとに触れる。

「でもお前、最近残業続きで帰り遅いだろ。今日も徹夜じゃ体壊すぞ」

もしかしてすでに隈ができていただろうかと焦った私は、彼の手からパッと離れ大げさに微笑んでみせた。

「大丈夫ですって! 私、若いし! 体力あるし!」

すると、下げた眉は戻らないものの口角をわずかに上げて微笑んだ周防さんは、「ありがとう。正直、かなり助かってる」と頭を下げた。

自分だって大変だろうに、人への感謝を忘れないところは周防さんのいいところだと思う。

「俺も今夜は帰れないから、何かあったら声かけてくれ。隣の部屋にいるから」

そう言って出ていった周防さんは、三十分後に熱々のパスタとサラダの入った袋を持って再び私の席へやって来た。
 
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