俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
(そうだ……朝方に完成したデータ送った後、少し休もうと思ってそのまま眠っちゃったんだ)

ちょっと仮眠するつもりだったのに、外はもうすっかり明るい。時計を見たらもうすぐ八時になるところだった。

「データ、確認して周防に回しといたからな。ちょっと直すとこあったけど、それはこっちでやっといたから」

「そうですか、ありがとうございます……」

ようやく頭が覚醒してきた私は、椅子から立ち上がろうとする。と同時に視界が揺れ、ガンガンと響くようなひどい頭痛に襲われた。

(やばい、これって……)

自分のおでこに触れてみると、明らかに普段より熱かった。まずい。絶対風邪ひいた。

「仮眠とるならそっちのソファ使っていいぞ。こないだ俺が寝たからちょっとおっさん臭いけど」

三坂さんは親切にそう言ってくれたけれど、このままソファなんかで寝たら悪化するのが目に見えている。

「いえ、大丈夫です」

できることならば早退して病院に行って家で休みたいところだけれど、今日は昼から例のオーロラ製菓のCM試写会があるのだ。私の初めての全国区CM作品。休むわけにはいかない。

ふらつく足に気合を入れてトイレまで行き、メイクと髪を整え直す。
 
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