俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「で、ちゃんとコンテの修正全部終わったんだろうな?」
会社内に入り小突くのをやめた周防さんは、私の隣を歩きながら尋ねてきた。
「もちろんです! 三坂さんにもデータ送ってOKもらいました」
今日のプレゼン、チームの企画リーダーは周防さんだ。彼のしごきのような駄目出しはきつかったけれど、最終的には周防さんにもADの三坂さんにもOKのもらえるコンテができた。我ながら胸を張りたい。
「よし。あとは向こうの質問に答えられるようにしとけよ。オドオドした態度見せるなよ」
「はい!」
はっきり言って、周防さんのことは苦手だ。営業の天才とはいえ阿修羅像並みに裏表激しいし、駄目出し容赦ないし、大福呼ばわりするし。
けど、営業部員としての実力は認めざるを得ないし、チームを組めばそれが安心感にも繋がる。
私にとっては大きな今回の企画。周防さんがリーダーでよかったと密かに思う。
(大丈夫。周防さんが認めてくれたコンテなんだから、絶対うまくいく!)
コンペは今日の午後から。私はシャツ越しのガーネットにそっと手を当て、今からドキドキしている胸を押さえた。