俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
シャワーを浴び身支度を整えて戻ってくると、部屋にコーヒーの香りが漂っていた。
「おはよう」
そう言ってソファに座りコーヒーを飲む周防さんは、タブレットで今朝のニュースをチェックしている。
「おはようございます。すみません、静かにシャワー使ったつもりだったけどうるさかったですか?」
私の物音で起こしてしまったかと思い焦ったけれど、周防さんは「いや、気にならなかったけど」とコーヒーだけ持ってソファから立ち上がった。
「それより朝飯何がいい? おかゆ? スープとパン? シリアルとかヨーグルトもあるけど」
キッチンへ向かい冷蔵庫を開ける彼の背中に、私は「朝食まで迷惑をかけるわけには」と言いかけて口を噤んだ。あぶない。顔面冷却シート十六枚の刑になってしまう。
「……よかったら私が作ります。いっぱいお世話になったお礼に」
言葉を変えてそう申し出ると、周防さんはこちらを振り向き私のおでこにぴたりと手をあてた。
「……昨日よりはましだけど、まだ微熱あるな。いいからおとなしくしてな」
「そ、そうですか? でもだいぶ元気に……」
「病人はおとなしくして着席、着席」
そう言って周防さんは私の肩をグイグイ押しやり、ダイニングの席に着かせてしまう。
そしてキッチンに戻り手早くエプロンをつけると「で、何が食べたいって?」と腕まくりをしながら再度聞いてきた。