俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
温かいポタージュスープとフルーツヨーグルトの朝食をとりながら、周防さんはこれから私を病院へ連れていくと宣言した。
今日は撮影スタジオに直行するので、ついでに車で病院まで送っていってくれるらしい。
なんだかとことんお世話になってしまって申し訳ないなあと思いながらヨーグルトを口に運んでいると、彼はさらに過保護なことを言いだした。
「病院終わったらここでも自分の部屋でもいいけど、帰りな。まだ熱あるし仕事してたら絶対ぶり返すから、今日も休んだ方がいいぞ」
「そんな!」
確かにまだ熱っぽくて体の節々は痛むけれど、昨日みたいにふらついたりへたばるほどでもない。咳もずいぶん収まっている。
それに今週が締切の仕事もふたつあるし、新しいコンペの打ち合わせも今日から始まるのだ。これ以上休んでいる暇はない。
そう訴えると周防さんは「また寝込んだら元も子もないだろ」と顔を渋くしたけれど、最終的に「打ち合わせ終わったら速攻帰れ。デザインの作業は家でやれ」と私に言い渡した。
――確かに周防さんの言い分は正しい。体を壊してしまっては元も子もないのは分かっている。
けれど、いったん出社してしまうと簡単には帰れなくなってしまうのが仕事というものだと思う。
午後七時。とっくにコンペの打ち合わせは終わったというのに、私は自分の作業に追われて帰れないままでいた。