俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
――ところが。
「コンセプトもキャッチコピーもいいんだけどねえ。なーんか絵面が薄っぺらい印象がするんだよねえ」
こちらの説明を聞き終えたクライアントの責任者が苦笑いを浮かべて言ったその台詞に、周防さんはじめチームの表情が固まった。
会議室のプロジェクタースクリーンに映っているのは、私が昨夜三時までかかって仕上げたCMコンテ。それを腕を組んで首を捻りながら、クライアントの責任者の男性は眺めている。
「アオハルっていうの? 最近はテレビつけるとしょっちゅうこういう青春系CM見るじゃん? なんかもう食傷気味なんだよねえ。このプール飛び込むシーンとか既視感アリアリだよ」
手に持った企画書をペンでペシペシ叩きながら言った責任者の言葉に、他のクライアントのメンバーも調子を合わせるように頷いたのを見て、私は焦って口を開いた。
「薄っぺらいなんて……そ、そんなことないです。ちゃんとその先にメッセージ性があって……」
確かにカテゴリとしてまとめてしまえばクライアントの言う通りだ。でも、よくあるものと差別化を意識して作ってある。
もっとちゃんと見てほしいと思うのに、真っ向から否定された私は焦ってしどろもどろになってしまう。そのとき。
「分かります。テレビでこの手のCM見るたび、またかよってなりますよね。けど、飽和状態になっても需要が絶えないほど、十代からの支持率は圧倒的なんですよね~青春系」
私の前に立った周防さんがニコニコとしながら話を始めた。