俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
そんな感じで同棲生活一週間目。環境がよいせいか風邪もあっという間に治ったし、実に調子のいい毎日を送っている。
今日は周防さんが忙しくいつ帰れるか分からないというので、和花ちゃんとBier-Ladenに来ている。和花ちゃんには、周防さんに告白され付き合うようになってしまったことは伝えていたが、同棲にまで発展してしまったことを報告したのは今日が初めてだ。
案の定彼女は目を丸くしていたが、私と周防さんがまだ最後まではしていないと聞いて、何やら「うーん」と考え始めてしまった。
「惚れ薬のせいとはいえ、周防さんってもしかしてすごくいい恋人なんじゃない? 梓希のこと本当に心配してくれて献身的に尽くしてくれて。何より一緒に暮らし始めたのに安易に手を出さないってのがすごい」
感心した様子で言った和花ちゃんに、今度は私の方が目をパチクリとさせる。
献身的に尽くしてくれることには同意だ。けれど、同棲一週間で手を出さないのはそんなにすごいことなのだろうか。
「私、彼氏いたことないから分からないんだけど、それって感心するようなことなの?」
コソッと小声で尋ねれば、和花ちゃんは再び「うーん」と首を傾げてから私よりさらに小さい声で答えた。
「……一般的にはそうだと思う。若くて健康な恋人同士がひとつ屋根の下に住んでるのに何もないって、たぶんかなり異色。よーっぽどまじめで相手を大切に思ってるか、あるいは性的な関心が湧かないか」
そう言ってから和花ちゃんは視線をチラッと一瞬下げて戻し、言葉を続けた。
「まあ、後者はないよね。その巨乳と一緒に暮らして関心が湧かないとか、健全な男ならありえないかな」