俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
私も和花ちゃんも酔っぱらっていたのだろう。実にくだらないことで真剣に言い合ってしまった。すると。
「仕事の後なのに元気いいですね、ふたりとも」
ふいに席のうしろから声を掛けられて、私はビックリして口を手で押さえてから振り向いた。
「こ……小宮山さん……」
そこに立っていたのは、なんと小宮山さんだった。
恥ずかしいことで言い合っているのを聞かれてしまっただろうかと思い、顔がカァッと熱くなっていく。
「お疲れ様です。梓希さん。最上さん」
「お疲れ様です」
「お……お疲れ様です……」
今の会話いったいどこから聞かれていただろうと思いハラハラしたけれど、小宮山さんはいつもと変わらない陽だまりのように柔らかな笑みを浮かべている。
「小宮山さん、打ち合わせですか?」
「いえ、納品終わったんで今日はチームのメンバーと打ち上げです。最上さんたちは?」
「私たちはただの女子会です」
そう言って和花ちゃんがにっこり笑ってゴブレットを軽く掲げて見せると、小宮山さんは「楽しそうでいいですね」と目を細めた。
どうやら会話は聞かれてなかったみたいだと、密かに胸を撫でおろす。すると。