嫌い同士の恋物語
やっぱり…
私はコソッと友沙に耳打ちした。
「なんで圭人まで来んのよ!」
「だって朝日が、瀬川がいいって言うから」
そりゃあ、いつも一緒にいるからな…
「結局林間学校までいつものメンバーじゃん」
「いいじゃん!せっかく同じクラスなんだから、一緒に思い出作らなきゃ損だよー?」
それは友沙に限っての話だ。
「そういう思考になるのは、桜木と付き合ってるからでしょ?私は違うの」
「でも好きなんでしょ?ならいいじゃん」
うっ……
好きと言われてしまうと何も言い返せなくなってしまう
「ね!きっまりー!私、先生に言ってくるね!」
はぁ…大変な林間学校になりそうだ
『ま、お前も良かったじゃん。』
「桜木!なんでよ」
『なんでって、好きなんだろ?瀬川のこと』
…え、なんで知って──
『友沙から聞いたよー、まさかだったな。お前が、せが──』
「そ、そうだよ!そうだから、もうそんなベラベラ言わないで…!」
『あ、悪い』
そうだ。ここには当の圭人もいる。
今は興味無さそうにうたた寝してるからいいものの、起きてこの会話を聞いたら大変だ。