先輩手に入れます!

怒鳴り声をあげる梶谷先輩とは
真反対な鏑木先輩のクールな声。

いつも通りの2人だけど
いつも通りだとは思えない。

2人の話の登場人物が
私だったからだ。

梶谷先輩の言っていた責任の取り方は
よく分からなかったし
今の話の内容もほとんど何も
分からなかったけど
エリカ先輩の言う通り
梶谷先輩は本当に私に好意を
持ってくれていて、反対に
鏑木先輩はやっぱり私には
何の好意もないんだって分かった。

曖昧が確信に変わった瞬間
ふと、疑問が浮かびあがる。
そもそも、何で梶谷先輩は
私の事なんて好きなんだろう。

最近の私は別の事に気を取られていて
そんな事、考える余裕もなかったけど
確信に変わったのなら答えが必要だ。

だけど、理由が分からない。
答えようにもその理由が。

ああ、これか。
鏑木先輩が言ってた事って。
どこが好きかも分からない奴に
好きって言われて付き合うか?って
そうゆう意味なんだ。

不安なんだ、得体の知れない想いって。

部室から出てきた先輩は
一瞬だけ私を見ると目を逸らした。

今は何にも見つからなかった、言葉が。
先輩には好き以外の言葉が見つからない。
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