先輩手に入れます!
いつか、匡貴は言っていた。
鏑木先輩の気を引け大作戦
第56。押してダメなら引いてみろ!
一度、追いかける事をやめて
鏑木先輩の気を引こうとゆう作戦だ。
その時は、鼻で笑ったけど
結果的に今は、そうなった。
匡貴の作戦に乗った訳ではないけれど
私が先輩を追いかけなくなったのは事実だ。
でも、そのせいで私は傷付いている。
追いかけられないけど追いかけたい。
だって、私は...やっぱり、先輩が好き。
だけど、先輩のあんな表情を見たら...
これから先、また先輩に
あんな表情をさせるくらいなら...
私のせいで先輩が苦しむなら...
無くしてしまいたい。この気持ちを。
また零れ落ちそうな涙を堪え
足早にグラウンドを通り過ぎる。
一瞬だけ、鏑木先輩が
私の方を見たような気がしたけど
見間違いだったのかもしれない。