先輩手に入れます!

瀬那「じゃあ、俺が北見に
嫌われないように努力するしかないな。」

今度は冷たい声で冷たい言葉を言った。

雫「...それは...先輩ですか?」

瀬那「違うよ。それは俺じゃない。
北見の作った理想だ。
でも、俺は北見の理想の人になれるよ。」

雫「どうしてですか?」

瀬那「俺は俺じゃないから。
そもそも、自分がどんな人間かなんて
知ってる人なんてこの世の中に
ほとんどいないと思う。
ニュースなんかで良く見るだろ?
まさか、あの人がそんな犯罪を
犯すだなんて...的なインタビュー。
何かを間違えれば犯罪者にだってなるし
家庭内暴力を奮う人間にだってなるし
捨て猫を拾う人間にだってなるし
困ってるお年寄りを助ける人間にだってなる。
曖昧で不確かで脆くて強くてしぶとい。
それが人間だから。俺には北見が
何を怖がってるのか分からない。
だって...明日の自分を作るのは
自分しかいないだろ?」
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