オーロラの下、君を想う
「きっと、いつか笑えるようになるわ！たとえば今日の夜はオーロラを見に行くじゃない！」

ルミは目を輝かせながら言う。ルミはオーロラを見るのが好きで、何度もラップランドに行っているらしい。

真冬は、シナモンロールを幸せそうに食べるルミをちらりと見る。ルミは真冬の前でいつも笑顔だ。初めて会った時も、真冬はひどいことを言ったのに怒ったりしなかった。

「ねえ、ルミはーーー」

真冬は訊こうと口を開いて、やめた。こんな重い話をここでする必要はない、そう心の中の自分が言ったからだ。

「どうしたの？」

ルミが首を傾げながら訊ねる。真冬は「何でもない」と首を横に振った。

観光をしつつ、二人はヘルシンキの空港で国内線へと乗り込む。ラップランドは国内線で一時間二十分の場所にある。

「ラップランドの、ロヴァニエミ中心街から北に八キロ離れた場所にはサンタクロース村があるのよ！行ってみない？」

「ええ！ぜひ！」

ルミの提案に真冬は微笑み、外の景色を見つめる。
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